嘘吐き。

僕は貴方を信じていたのに。
僕が付いた嘘を貴方は決して許しはしなかった。

だけど、貴方は僕に隠れて嘘を付いていた。

その真実を知った僕は、手が震えて声が出なかった。

呼吸をする事さえも忘れてしまった。

僕は、そんな貴方を許す事が出来なかった。
一時の過ちなのに。そんな些細な事さえ僕には許し難い事だった。

僕の横っで眠る貴方を僕は憎んだ。
平気な顔でよく僕と向かい会えていたよね?

僕は貴方が憎くて仕方が無かった。
そして貴方が只管隠していた、相手の人間を殺めたいと思った。
貴方が僕以上に大切にする人間がこの世に存在しているのかと思うと、
僕は生きて行く事を止めたかった。

貴方に愛されていない僕には何の存在価値も無かった。

眠っている貴方を起こして、僕は貴方を只攻め続けた。
汚い罵った言葉が口から次々と出てくる。

僕だって、貴方の事をあんなに愛しているのに。
貴方は僕を裏切った。

僕は泣いていた。

貴方は「ごめん」と言うと、僕の頭を優しく撫でた。
泣きじゃくる僕の頭を。
小さく震える肩を優しく抱いて。

「俺が悪かった…許して欲しいなんて都合のいい事は言わない。お前の好きにすればいい」

貴方はポツリポツリと言った。
最後の決断を僕に託して。

此処でも貴方は選択を自らはしなかった。全てを僕に任せて。

僕は……泣きながら貴方を許した。

貴方を手放す事なんて到底無理だから…。

貴方はそんな僕を始めから解っていて、僕に決断をさせたのだろう。
僕は臆病だった。嘘をついた貴方を切る事が出来ずに、だけど許した振りをして。

僕は苦しかった。
貴方を信じる事が出来無い。

もう一度、貴方を信じたい。

どうか信じさせて……。

貴方をまだ愛しているから…。


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